災害の損害保険等の手続きや減免措置
生活再建に役立てられる災害の損害保険
近年、日本中で大規模な自然災害が頻発しており、被害は非常に大きいものとなっています。
日本は、その地理的条件から、世界的に見ても自然災害が発生しやすい特性があり、誰もが自然災害による損害を被る可能性があります。
そして、地震・風水災などの被害にあったその日から、被害を回復し、災害前と同じような「暮らし」を取り戻すための「生活再建」が始まります。この生活再建のためには、多くのお金が必要となります。
地震をはじめ、風水災などによる被害を受けた場合、地震保険、火災保険、自動車保険の車両保険、傷害保険などでその損害を補償することができ、生活再建に必要なお金を確保することができます。
地震に対する損害保険(地震保険)
地震保険では、地震、噴火またはこれらによる津波によって建物や家財が一定の損害を被った場合に保険金が支払われます。地震による被害を受けたときに役立つ保険ですが、地震保険の全国の保険加入率は、35.0%(2022年末)であり、まだまだ加入していない世帯があります。
なお、火災保険では、地震、噴火またはこれらによる津波によって生じた被害に対して保険金は支払われません。これらの被害に備えるためには、火災保険とセットで地震保険に加入する必要があります。詳しくは、「地震保険特設サイト」を御覧ください。
地震保険による保険金支払例
発生年月日 | 地震名 | マグニチュード (M) |
支払保険金 (億円) *1 |
主な被害があった県の 発生当時の地震保険世帯加入率 *2 |
---|---|---|---|---|
2011.3.11 | 平成23年東北地方太平洋沖地震 *3 (東日本大震災) |
9.0 | 12,894 | 岩手県:12.3%(2010.3月末) 宮城県:32.5%(2010.3月末) 福島県:14.1%(2010.3月末) |
2016.4.14 | 平成28年熊本地震 | 7.3 | 3,909 | 熊本県:29.8%(2015.12月末) 大分県:23.1%(2015.12月末) |
2022.3.16 | 福島県沖を震源とする地震 (令和4年福島県沖を震源とする地震) |
7.4 | 2,654 | 宮城県:52.7%(2021.12月末) 福島県:34.4%(2021.12月末) |
2021.2.13 | 福島県沖を震源とする地震 (令和3年福島県沖を震源とする地震) |
7.3 | 2,509 | 宮城県:51.9%(2020.12月末) 福島県:32.7%(2020.12月末) |
2018.6.18 | 大阪府北部を震源とする地震 | 6.1 | 1,248 | 大阪府:32.2%(2017.12月末) 京都府:30.4%(2017.12月末) |
1995.1.17 | 平成7年兵庫県南部地震 (阪神・淡路大震災) |
7.3 | 783 | 兵庫県:2.9%(1994.3月末) |
2018.9.6 | 平成30年北海道胆振東部地震 | 6.7 | 536 | 北海道:24.0%(2017.12月末) |
2011.4.7 | 宮城県沖を震源とする地震 | 7.2 | 324 | 宮城県:33.6%(2011.3月末) |
2021.3.20 | 宮城県沖を震源とする地震 | 6.9 | 189 | 宮城県:51.9%(2020.12月末) |
2005.3.20 | 福岡県西方沖を震源とする地震 | 7.0 | 170 | 福岡県:15.5%(2004.3月末) |
2001.3.24 | 平成13年芸予地震 | 6.7 | 169 | 広島県:14.2%(2000.3月末) |
2004.10.23 | 平成16年新潟県中越地震 | 6.8 | 149 | 新潟県:11.2%(2004.3月末) |
2022.1.22 | 日向灘を震源とする地震 | 6.6 | 119 | 大分県:29.1%(2021.12月末) 宮崎県:29.2%(2021.12月末) |
2021.10.7 | 千葉県北西部を震源とする地震 | 5.9 | 110 | 千葉県:35.3%(2020.12月末) |
2007.7.16 | 平成19年新潟県中越沖地震 | 6.8 | 83 | 新潟県:13.7%(2007.3月末) |
2021.5.1 | 宮城県沖を震源とする地震 | 6.8 | 81 | 宮城県:51.9%(2020.12月末) |
2005.4.20 | 福岡県西方沖を震源とする地震 | 5.8 | 64 | 福岡県:16.6%(2005.3月末) |
2003.9.26 | 平成15年十勝沖地震 | 8.0 | 60 | 北海道:15.5%(2003.3月末) |
2016.10.21 | 鳥取県中部を震源とする地震 | 6.6 | 56 | 鳥取県:23.0%(2015.12月末) |
2008.6.14 | 平成20年岩手・宮城内陸地震 | 7.2 | 55 | 岩手県:10.5%(2008.3月末) 宮城県:29.2%(2008.3月末) |
- *1 日本地震再保険株式会社資料(2023年3月31日現在)より
- *2 損害保険料率算出機構資料を一部修正して作成
- *3 東日本大震災に係る支払保険金は、3.11東北地方太平洋沖地震、3.15静岡県東部を震源とする地震、4.7宮城県沖を震源とする地震および4.11福島県浜通りを震源とする地震などを合計した約1兆3,203億円。
(注)支払保険金は千万単位で四捨五入を行い算出。
地震保険世帯加入率
地震保険付帯率
※「付帯率」とは、ある年度に契約された火災保険(住宅物件)のうち、地震保険が付帯されている割合
風災・水災・雪災等に対する損害保険
すまいの保険(火災保険)では、火災だけでなく、台風や防風などによる風災、洪水による水災、大雪による雪災、落雷などの風水災等による損害を補償する商品があります。
車の保険(任意の自動車保険)では、「車両保険」を契約していると、台風や洪水などの風水災等によって自動車が損害を被った場合に保険金が支払われます。なお車両保険の契約タイプによっては保険金が支払われない場合があります。
そのほか、からだの保険(傷害保険)では、台風や洪水などの風水災等によってケガをした場合に、保険金が支払われます。
参考情報:自然災害(風災・水災・雪災等)を補償する損害保険 [PDF]
主な風水災による年度別保険金支払額
※「支払保険金の年度別合計額」とは、 日本損害保険協会ホームページ「自然災害での支払額」に掲載されている「近年の風水害等による支払保険金調査結果(見込み含む)」の年度別の支払い保険金の合計額であり、当該年度に支払った保険金の全てを現わすものではありません。
保険金のご請求手続き
被害に遭われた場合は、すみやかにご加入の損害保険会社または代理店に直接ご連絡ください。
受付後、保険金お支払い担当部署からお電話もしくは保険金請求書類の発送等で、事故内容の確認や今後の手続きなどについて順次ご案内します。会社によっては、インターネットでも受付している場合もあります。
一般的に下記の流れで手続きを進めます。(各社の情報をもとに作成)
- ●加入する損害保険会社または代理店へ事故を報告する
- ●損害確認及び保険金請求書類(郵送)
- ●保険金請求書類作成
- ●加入する損害保険会社へ書類提出
- ●損害保険会社による実地での建物損害調査を実施
- ●損害額の確定
- ●保険金の支払い
災害時に損害保険の契約内容を確認する方法
家屋等の損壊・流失等により損害保険会社との保険契約に関する手掛かりを失う場合があります。「自然災害等損保契約照会センター」では、問い合わせに対して、契約内容の照会を行っています。原則として、被災された方(ご本人)、被災された方(ご本人)の親族(配偶者・親・子・兄弟姉妹)からのご照会に限ります。なお、契約有無の調査結果が各損害保険会社から出揃うまでには一定の期間(2週間程度)を必要とします。
ご注意ください
損害保険会社を装った詐欺まがいの勧誘が見られます。具体的には、損害保険会社の者と称し、電話で損害状況を聴取したうえで、「調査費用がかかるが、保険金が確実に支払われる」などといい、実際に訪問して調査費用を要求してくるようなケースです。
損害保険会社では、お客様に調査費用を直接請求することはしておりません。このような勧誘には応じずに、まずはご加入先の損害保険会社または代理店にご相談ください。
損保協会における地震災害時の対応
損保協会では、被災された方々に一刻も早く保険金をお届けし、安心していただけるよう、必要に応じて次の取組みを実施しています。
- ●相談対応 (被災されたお客様からの相談対応、被災地の出張相談等)
- ●情報提供 (相談窓口の避難所等への掲示、地震保険リーフレットの提供等)
- ●特別措置 (継続契約の締結手続き猶予、保険料の払込猶予等) ※災害救助法が適用された場合
- ●損害調査 (航空、衛星写真による全損地域の一括認定等)
(1)相談対応
被災されたお客様からの相談に対応するために、相談窓口(そんぽADRセンター等)を設置しています。
また、災害救助法が適用された地域では、「自然災害等損保契約照会センター」でお客様からの契約照会を受け付けます。そのほか、大規模災害時には「被災地での出張相談」や、そんぽADRセンターでも土日などの本来相談を受け付けていない時間にも相談を受け付けることがあります。
参考
日本損害保険協会が設置している専門の相談員によるお客様対応窓口のことです。交通事故に関するご相談、その他損害保険に関するご相談に対応しています。
また、保険業法に基づく指定紛争解決機関(金融ADR機関)として、損害保険会社とのトラブルが解決しない場合の苦情の受付や損害保険会社との間の紛争解決の支援(和解案の提示等)を行っています。
連絡先・所在地:そんぽADRセンターの連絡先・所在地
(2)情報提供
損害保険に関する相談窓口の情報を避難所等へ掲示したり、保険金のご請求手続きの方法をご紹介するリーフレットを配布したりしています。また、ウエブサイトにも、被災された方へのお知らせなどを掲載しています。
例:令和2年7月豪雨による災害に関する損保業界の対応について(2020年7月9日)
(3)特別措置等
災害救助法が適用された地域で被害に遭われたお客様を対象に継続契約の締結手続きおよび保険料の払い込みを猶予する特別措置を講じる場合があります。
なお、自賠責保険の場合は、道路運送車両法第61条の2の規定に基づき自動車検査証の有効期間が伸長された地域に使用の本拠を有する自動車等が対象となります。
(4)損害調査
東日本大震災では、被害が甚大かつ広域であったことから、被災した契約者に地震保険金を早期に支払うための取り組みの一環として、損害保険業界として初めて共同調査による全損一括認定地域の認定を実施しました。具体的には、航空写真・衛星写真を用いて被災地域の状況を確認する手法を導入し、壊滅的な被害を受けた街区を全損地域として認定しました。
参考:東日本大震災に対する損害保険業界の対応(「損害保険研究」2012年5月)231ページ~
【協会長コメント】東日本大震災から10年を迎えるにあたって (2021年3月11日)